NEW ARTIST

気が付けば秋ですね。世間では食欲の秋だとか言いますが、物好きな我々は物欲の秋となります。(食欲も満たしますが、、、)かれこれ10年以上オブジェ沼にハマっています。YOHEIです。(クラフト沼は20年ほど。)

さて、いつもの皆さまはご存知だと思いますが、good is good.にて僕がセレクトする作品のほとんどは、”世間ではあまりメジャーではない物”であって、さらに人の手で作っているのにも関わらず、”デザインプロダクトのような洗練さ”を持つ、ちょっと変態的なアイテムが多いです。

たとえば、陶芸家さんだったら、ロクロで作った方が速いカタチなのに、何故か手捻りで時間を掛けて作っているようなアーティスト。そんな変わったアーティストが多いのがgood is good.の特徴。ですので、全員とは言いませんが参加アーティストも高確率で【少しネジの外れた明るいオタク】が多いです。そんな当店が本日ご紹介するアーティストも漏れなくその気配をヒシヒシと感じさせる、変わった作風のセラミックアーティストです。

滋賀県を拠点に作陶されている “t.g.p.” 後藤武久さん

■アーティストプロフィール

ARTSIT / BRAND・t.g.p.


経歴

1992年 大阪府生まれ
2015年 武蔵野美術大学 陶磁専攻 卒業
2016年 Capllagarden   陶磁科 卒業
2016年 Morten Esperson氏 アシスタント
2017年 矢野直人氏 師事
2019年〜滋賀県甲賀市信楽町に移住、作陶

以前展示を見に来て頂いたのがきっかけで知り合えたアーティスト。こちらも最初は作家さんと知らずにおりましたが、作品を見る姿や、お話しされる口調がとても誠実な人柄が出ており、素敵な方だなぁと勝手に感じておりました。その後に作家さんと知り、作っている物も個性的。お会いする機会も増え、この度の参加と至ったわけです。

■シンプルだけど何処か変わってる

ここで言う【変わってる】は良い意味の”変わってる”です。後藤さんの作品は、鮮やかな模様や釉薬は使われておりません。視覚的な「派手さ」は感じさせず、でも心地よい「変さ」を持っています。形が有機的だから?一瞬そう思いましたが、そこだけでは無いはず。話を聞けば、もともと李朝などの古物が好きだと言う後藤さん。日本の民藝も好きで、昔の扁壺(扁平の壺)などからヒントを得て、作陶されているそうです。影響を真正面に受けた当時の作品を拝見しましたが、今とは違いがっつり硬派な正統派な作風でした。

その話を聞き、作品を改めて見ると、伝統的な陶芸のエッセンスも確かに感じるなぁと、同じ物でも見え方が変わるのが面白い。

それでも、”それだけではない空気を感じる”のは何故だろう。

■北欧のカルチャーとの交わり

後藤さんは東京で陶芸を学んだのち、スウェーデンでさらに陶芸の学びを深める。そこでヨーロッパの優れたデザインセンスによる、かたち様々で自由な陶芸のスタイルや、豊かな色の表現を肌で体感し、東洋と西洋の両方の性質を持つ現在のスタイルへと変貌を遂げていったと言う。

ここまで聞いて、ようやく「なるほど!」と納得して、【変わってる】の根源に気づいた。でもあと少し、ほんの少しだけ隠し味的に何かを感じてしまう。世代的なものかもしれないけど、アニメーションとか漫画の文化を強く感じられる。デフォルメされた生き物のフォルムとかにリンクするユニークなフォルム。

その僕の疑問に、後藤さんなりに導いた解釈は、「80年代90年代のグラフィティが好きなんで、その影響はあるかも知れないです」

「それだ!」と僕は確証を持ってしまった笑

僕もヒップホップカルチャーにどっぷり浸かっていた世代の人間なので、当時のグラフィティが持つあのアウトラインの太さと丸みはこの作品に通じる物がある。

■狭間にある物を狙っている

「境界線にあるものが好きなんですよね」そう話す後藤さん。「うまく言えないですが、両方の性質を持っているような感じ」まさにgood is good.の感じだなぁと僕も受け取る。

ウチのお店の話をしたら「実は自分で勝手に、初めて来た時から似合うだろうなぁと思っていました」と話す後藤さん。出会うべくして出会ったアーティスト、有りそうでなかった表現。とても面白い作品が仲間入りしました。

good is good.でもニュータイプの作品ですが、ディスプレイしている様は、前から居たかの様な馴染み方。t.g.p.後藤武久さんの作品は店頭にて展示販売中。もちろんすべて一点ものです。

今後の展開も含めて、楽しみにお待ちください!

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