-Another Story- future is now

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この記事は二部構成です。前回のブログをご覧頂いていない方は一部からご覧ください。

「来年から展示のスタイルが変わる」と昨年末のブログでお伝えしました。数年前からそんな未来のコトを考えて、色んな調整とやり取りをしてきました。本日はそれと深く関係する事で、僕がお店を運営する上で腹を括った?と言うか覚悟を決めたこと?をお話ししようと思います。

幾つか有るんですが、ひとつは約3年前から既に実行していて

“クラフトフェアは行かない”って決めています。

なんとなくの理由はいつも言ってるので、コアな方々は気が付かれたかもしれないです。僕はこの業界がトレンド化している今の現状を憂いています。流行りは一部の上澄みだけで、その流行りに埋もれてしまった奥底の部分にあるクリエイティブなタネを大切に育てたい。いまのクラフトフェアは”流行りの場”になってしまっていると僕は感じる。そこで見てる限り、僕も流行りを追っかけ、支持して、いまのメインストリームと同じになっちゃう。僕はもっとマイノリティな人たちに出会いたいし、その人の孤高の挑戦や表現を紹介したい。みんなが集まる”流行の場”で手に入れるものは僕にはもう必要ないなと思いました。多分ここに来る人たちも”それ”を求めてるよね?人気になった蚤の市や骨董市にワクワクしなくなる感覚と同じです。わかる人にはわかるはず。(昔は好きだったんだけどねー)

2つめも数年前からやっています。ひとつめと内容も似てます。

“Instagramは見ない”

お店をやってなかったらうまく付き合いながら見てると思う。でもオーナーとして流行りを追いかける行為は僕はしたくないなと。

3つめはかなりディープな話し。来年から展示のペースを落とす核の部分につながっています。これが伝えたかったメインの部分。

“展示ペースの多い作家さんの展示はやらない”

とても難しい内容なので語弊がないように伝わると助かります。

昨今のブームで毎月どこかで展示をしている人や、ひと月に複数店で掛け持ちされている方もいます。

生活の事とか各々でいろいろ理由はあるので、一概にこうだとは言えないし、否定もしたくないのですが、”僕がgood is good.でやりたいこと”に関しては、そのペースで生み出す価値観ではないなと行きつきました。いろんなタイプの作品、いろんなジャンル・キャリアのアーティストたちとお仕事をさせていただいて、良い事もそうでない事も知って、その結果この結論に至りました。

僕が思う理想は、しっかり制作期間を取って作品と向き合う事、自分自身のやりたい本質と向き合う事、発表までに自身の納得のいく表現に到達する事、これが本来モノを作ったり表現する人たちに必要なクリエイティブな要素だと思っています。そして何より大切なのは、余裕のある展示スケジュールと制作時間の中、自分の身体の事と、家族との時間をきちんと持つ事、これが本当に大切だと思っています。それをやらない人、もしくはやれない程に忙しい人は、good is good.では紹介しないことに決めました。そして僕自身もそれを大切にして生きていこうと決めました。

以前にも発信したことがあると思うのですが、同じ一万円を稼ぐ方法でも、ひとつ千円のモノを10個作って売る方法と、ひとつ一万円のモノを1個だけ作って売る方法と、同じ結果でも、いろんなルートや選択肢があります。

千円のモノの場合、どうしてもひとつに想いを込める時間がなくなってしまい、スピード勝負みたいな物作りになってしまう。1人の作家が、一生のうちに作れる作品の数も限度があるのに、そのマインドでは作る方も買う方も勿体無いと僕は感じています。それと同様に、きっと1人のユーザーが一生のうちに手にできる作品の数も限りがあるはず。”作る”という行為で必ず消費する”資源”にだって同じことが言える。それだったら気持ちよくひとつの作品を作って、その作品のクオリティを上げたり、想いを込める事に時間を割く方が、作る方も買う方もよっぽど有益なんじゃないかと考えています。そう言う制作スタイル・働き方で、空いた時間に次回作の構想を練ったり、家族との安らぎの時間に使ったり、趣味の時間に使ったり。余白や余裕のある暮らしが本当の豊かさや良質なモノづくりを生み出すんだと僕は思う。自分もその生き方を選択したいし、アーティスト達に選択させてあげたい。本来、作家とギャラリーはそんな事を考えて共に行動すべきなんじゃないかと僕は思っている。

僕の考えは、今の時代の常識や価値観・流れとは全く逆の考え方だと思っています。多数決で言うと僕は間違っているのかもしれない。でも、ギャラリーやアーティストってカルチャーを追いかける立場では無く、新しいカルチャーを作る側だと思っています。「ないものは作る」そっちの方が早いし。

その関係で、2024年に予定していた展示をすべて白紙にしました。僕も相応の覚悟をもって挑みます。共感してくれる人、2024年の展示に参加したいクリエイターも同時に募集します。

『減らして豊かにする』

次の時代はそうなるはず。と言うか僕はそれを提案します。

僕らが後世に残したいカルチャーや人々は、僕らが選択するすべてのことで作られている。そう思っています。多様性のある”新しく楽しい”心が高揚するような表現が一つでも多く残るように。大切な物を未来に残したいのでこの選択をする事にしました。2023もどうぞよろしくお願いします。

YOHEI

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